元外資系部長の副業サバイバルガイド(実践中)

副業を組み合わせたら何とか生きていけそうなので部長だったけど会社は辞めた 〜副業を武器として活用するススメ

過去に出会った困ったちゃん(問題社員)の7種類のプロファイル

どうもTommy@副業生活者です。在宅ワークで運動不足になりがちなので、地区のスポーツセンターに週1くらいで行っています。

 

さてサラリーマン時代にグローバル企業のマネージャーとして、そして部門長として、いろいろなタイプの人と仕事をしてきました。

基本的に優秀で思いやりがあり、フレンドリーな人が多く、仕事はしやすかったと思います。その状況で自分が何をすべきかさっと理解し、必要なことをがっちりやってくれる人、単刀直入にいうと「出来る人」に恵まれた気がします。

 

一方で、さすがに6社も経験すると、RPGのボスキャラのように要所要所に困ったちゃんがいて、悩まされたり、時には実害を被ってきました。

特に一部の確信犯やメンタルやばい系はもう議論して改善する、なんて余地はないので、期末の1:1ミーティングの後などはえらいガックリ疲弊しました。

グローバル企業は基本的に、会社の目標やミッションが明確で、そのためにチームプレイで各人が役割を果たしていこうという仕組みで組織が運営されていますが、それを破ったり都合のいいところだけつまみ食いしたり。

単に一社員としてだけでなく、経営の目線で考えても周囲の人のやる気を削ぎ、生産性を下げ、それでいて給与や福利厚生はしっかり一人前以上に払う必要があり、場合によっては人事部門も巻き込んだ騒動になったり(人事部門が助けてくれないケースもありましたが)、いずれ経営学などでも扱うジャンルにして自分もぜひ研究に参画したいと思います。

あくまで自分の体験した範囲ですが、その特徴や生態で7つのタイプに分け、プロファイルを描いてみました。

注:やや際どい表記もあるかもしれませんが、人権や差別を助長する意図は一切なく、あくまで組織運営上の重要な、でもあまり表立って取り上げられない課題を自分の経験をベースに明確な対象にし、今後の改善のための研究に役立てたいという想いで書いています。

 

タコツボ型社員

自分の守備範囲はこれだけ、と線引きしていて他のことはしないタイプ。人数の少ない部署の管理職としては、隙間仕事を拾わず、突発仕事にも後ろに隠れて対応しないタイプで部下として一番いて欲しくないのに、よく出会ってしまう(=人口は意外に多い)。

大企業で明らかにすでに出世コースからは外れた中高年社員のうち、一定数がこうなるようにも思える。

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わりと古参社員でマネージャーなどの肩書きを持っていることもあるが、部門の運営にはほとんど参画しない。経費が会社持ちの飲み会には来る。

残業もせずほぼ定時もしくは定時+30分以内でささっと帰るが、何か趣味とかに打ち込んでいるという風でもなく、最小限の労働でできるだけ利得を得ようという意思以外感じられず、はっきり言って人間的にもあまり面白くないのが特徴。家でもわりと妻子に軽視されているように見える。

最近は未払い残業とか労働問題が厳しくなってきているので、それを口実に堂々と定時に帰るが、いてもいなくても影響のない人なので、早期退職プログラムなどあれば、真っ先にリストに載せられてしまう。

批評家型社員

会社が悪い、上が決めてくれない、予算がない、誰それは仕事の進め方はまずい、と組織や他社の批判ばかりしているが、自分からは一切動かないタイプ。タコツボ型と被ることもあり、チャレンジせず慣れた仕事しかしないので失敗はせず、「自分はきちんと仕事をしている」と主張する。自分は優秀だし、自分の役割はきちんと果たしているという自己イメージを持っている。

会社の規程やマニュアルにかなり詳しいが、その詳しい知識を自分の責任範囲や業務量を狭めるために活用している(●●の承認は部門長なので、私には権限がありません的な発言が多い)。縄張りを作ってそれを機会を捉えては少しずつ狭めようとしている行動を見ると、タコツボ型の進化系とも考えられる。

何か仕事を頼んでもプロセスや手順も指定しないと動かず、「上がきちんと決めてくれないから動けない」と批判する。

対照的に、その仕事の目的とリソースだけ伝えれば、あとは自分で組み立てやフローを考えてささっと取り組んでくれる人もいるので、数年くらいで評価に差は出る。

本人は自己イメージが高いので、評価の面談などで改善して欲しい旨を伝えると、「その前に会社が●●の仕組みを作るべき」、とかTommyさんが「●●を役員にリクエストすべき」など提言(らしきもの)はしてくれるが、とにかく自分が動くという選択肢はなく、生産性には貢献してくれない。

リテラシー低すぎでしょう型社員

不真面目というわけでないが、関連部門や外注さんなどに連絡を頼むと、たかだか10〜20行の電子メールを書くのに2時間も3時間も掛け、不安なので添削すると、どうにも意図や用件が明確に伝わるとは思えない、支離滅裂な文章を作っている。

またExcelPowerPointを依頼しても全然使えず、教育と思って手取り足取り教えると覚える気はなさそうで、仕舞いには「この仕事はExcelの得意なTommyさんが、ご自分で最初からやった方がいいんじゃないですか」と言い出し、だったら君のできる仕事は何なんだよ、と言いたくなるビジネスリテラシー(一般教養)の低い社員。

留学していて英語が得意という人も何人かいたが、ビジネスリテラシーが低いからか、または作文力の問題か、どう見てもビジネス上の連絡には使えないような英作文力。

序盤の定型挨拶文までは格好いいものの、その後は要領を得ない文章を書いたりして、その添削でこちらの残業時間が増えたりする。

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自分は何が得意で、どんなことができて、何を世の中に提供する対価としてXX万円を毎月受け取っている、というような流れがあまり見えていない、ある意味、オトナにならずに年齢だけ重ねているとも言える。

強烈アピール型社員

形を変えた批評家型ともいえるが、自分が何をやった、自分の実績はどれだ、とあちこちで必要以上に主張する。会議の発言などでも、過去の自分の成功事例をベンチマーク(物事を検討する時の土台となる基準)としてよく持ち出す。

他のアピール型の人はキライで(同病相憐むか?)、アピール型を見ると、「あいつは実力がともなわないくせにアピールばかりしている」と嘆く(お前もだよ、と言いたくなる)。

特に大きなミーティングなどで積極的に発言するのはいいが、ビジネス雑誌の見出しコピーのような具体性や実効性のない、わりと空虚な意見ばかりで、企画をまとめるとか問題解決に直接役立つことはごく稀。そのくせ、本人はそのプロジェクトのアドバイザーのような顔をしている。

性格的には形を変えた批評家ともいえるが、根は「構ってちゃん(通称:カマちょ)」であることも多く、長所を大げさに褒めると結構うれしそうな様子。逆に注目しないとヘソを曲げて、時にはこちらの役割を妨げるようなことをするので油断ならない。

管理職であると部下の手柄を横取りするタイプになるので、その上の人間が冷静に見てチームメンバーたちをフォローしないと、部下に反目されて一気に仕事が回らなくなるリスクがある。

また自分に都合の良いバイアスを掛けて(自分はきちんとやっているのに、相手が邪魔してくる等)情報を上げてくることもあるので、これまた割り引いて聴く必要があり、時々、第三者にコミュニケーションして裏取りする必要がある。

勘違い型社員

客観的に見て優秀ではないが、ご本人は他の人は欠点が多く自分が一番よく仕事ができ、このチームを縁の下で支えているのは実は自分だと思い込んでいるので、周囲と発言が噛み合わない。

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また過剰に自信があるタイプだと上に報告しないで、または本人のバイアスの掛かった勝手な報告をメールで一方的に送り付けてきて、勝手に仕事を進めてしまうことがある。

すでに他部門などを巻き込んで突っ走っている場合、そのフォローアップに手間を取られることがあるので、動きをよく捕捉していないといけない(それでも、ちょっと目を離したスキに大ごとになり、あとで他部門の部門長に謝りに行ったりすることもある)。

本人の自己イメージほどできる訳でもないので、改善するよう指導したりするが、逆に他者のせいにしたり、こちらの些細なエラーを持ち出してきて逆ギレするなど成長の機会に自分から背を向けるので、なかなか改善しないのが痛い。

たまにその自信たっぷりの弁舌の上手さで他部門の評価がいい場合があるので、そんな時はそちらの部門に移籍させてもいいが、行った先で今度はこちらがとばっちりを受けるリスクもある。

もしも上司が会社命の勘違い型である場合は、会社に対する際限ない献身を求められ、またビジネス目標の達成というより苦労をすること自体が自己目的化することも少なくない。

そのため、毎日残業を強いられたり、やらなくてもいいような仕事のために時間を取られることが頻繁に発生して、こちらの心身を消耗させる。

ふとマンガ「ドカベン」の岩鬼正美を思い出したが、残念ながら岩鬼のような強靭な体力とか馬鹿力がある訳でなく、またこちらも山田太郎のように優秀で優しくて力持ちな訳ではないので、困った存在である。

極端なリスク回避型社員

何か幼い頃に些細なミスでもひどく叱られていたなどトラウマでもあるのか、(優秀とかキレ者というほどではないにせよ)普通に仕事はこなせるのに、なかなか仕事を仕上げられない。

サポってやらないという訳ではないので、タコツボ型や批評家型のような悪質さはないし、低リテラシー型のようにビジネスツールを使えないという訳ではない(ただし、得意というほどでもない)。

真面目にやろうとしてくれているが、些細なところで、たとえばA案にするかB案にするか、文書の言い回しをどうすればいいかで悩んでそこでスタックしてしまうため、それほど難易度が高いとは思えない仕事でも時間が掛かってしまう。そして時間を掛けたわりに、アウトプットは質・量ともに高くない

口下手であったり、作業効率が悪かったりするので、批評家型の格好の咬ませ犬になってしまうこともある。特に口の悪い批評家型に面と向かって批判されたりすると、怒りと恥ずかしさからか、益々自分の殻に閉じこもってしまうケースも見られる。

またズルい批評家型は、「こんな1つの仕事に何時間も掛かる奴より仕事が早い自分がたくさんやらされるのは不公平だ」と本人が他の仕事をするのを拒否する口実に利用することもある。

やり方やフォーマットが決まっている定型業務であれば、効率よく進めてくれるので、そのような仕事を任せつつ、悩んだ時の判断のポイント、考え方を伝えて「決められる」体験を一歩ずつでも積んでもらう。

真面目であることが多いので、オールラウンドは難しいにしても、ある分野に特化して専門性を高めてもらえば、いずれ貢献はしてくれる可能性は高いのが他のタイプと異なる。

サイコパス型社員

頭は切れ、いろいろな情報をきっちり整理して理解していて、状況を隅々までしっかり理解している。また話も分かりやすくて面白く、会議の司会などさせてもうまく落とし所に導いてくれて、一言でいうとスーパービジネスマン。

ところが他人への共感は思いやりがなく、また生産性を上げて会社に貢献しようというのも実は演技だったりして、根っこでは単に戦略ゲームを楽しむように状況を自分の思うように動かすことに熱中している(注記:実際にサイコパス型社員にどのようなインセンティブがあるのかは不明

いわゆるサイコパスというべき人々。

20人に1人とも100人に1人ともばらつきはあるものの、最近の研究ではこのような人が一定数いることが解明されている。大きな会社であれば、1つの部門に1人くらいはそういうタイプの人がいる可能性がある

彼らは人の心を掴むのが上手く、上の人に人懐っこく相談に行ったり、同僚にアドバイスする振りしてある種の暗示のメッセージを送って行動に影響を与えたり、要所でもっともな意見を述べて会議の流れを巧みにコントロールしたりして、本人が楽しめる状況を作ったりする。

こちらが物事をまとめようとしているのに、サイコパス型は本人が楽しむために、あるいは本人が心理的に優位に立つために状況を壊したり、細工をしたりして引っ掻き回す。

知能は高いために周囲がコントロールされるリスクもあり、現場の情報に疎い部長や役員までサイコパスの話に乗せられてしまうことも少なくない。

また会社が混乱してもサイコパス本人が楽しんだり利益を得られる方向に状況を持っていきたいというインセンティブがあり、しかも思いやりや配慮はないので、本人の方向性と会社のビジネス目標が異なると、生産性や組織の運営に悪影響が出るリスクは低くない。

 

困ったちゃんがいられない会社

さて、ではこういう人たちがいる環境で、どうすればいいのかというのが次の課題になります。

また彼らは冷静に状況を見ているので(精神的にちょっと平均値から大きく乖離していて、状況が見えていない方もいますが)、管理人のような丁寧でできるだけフォローしようという姿勢を見せると、こちらを舐めてきて勝手な主張をするという側面もあるので、ちょっと普通と違う対応を考える必要があるように思います。

対応についてはケースバイケースではありましたが、いつも小さな部署で余力はなかったので、そういう人たちのいいところ、得意なところを見つけ、そこの分野の担当に付けてリソースが遊ばないように仕事をさせつつ、またゴネ得にならないよう、隙間を拾ってくれたり機動力の高い人の方がいい評価になるよう、バランスに気を使ってきました。

それでも、任せた仕事に少しでも例外的なトラブルが発生すると、大騒ぎして仕事が止まったり、他部門に本人はかっちりしていないと気が済まないとかいいつつ、自分の休暇にはずいぶんルーズだったり、個々人の良心とプロとしてのプライドに依存する管理人のマネジメントスタイルでは通用しないのかな、と悩まされることもありました。

これまで経験してきた中で、2社だけ困ったちゃんがいなかった会社があります。

外資系IT企業A社と外資系(中身はほぼ純日本系)生保B社です。

両社はわりと共通点があって、営業社員を大事にする会社でもありました。他業種の優秀で意欲のある営業マンを積極的に採用し、大事に育成してハイペースでしっかり売れる組織を作るという経営戦略・人材戦力もなぜか同じでした。

反面、営業社員の給与はほぼ歩合制で、稼げるスターはプロ野球選手並みになるものの、1年以上稼げないと給与は地方の零細企業並みになり、そこから2期続けてターゲットに行かないと事実上契約打切り(解雇)になるという厳しいものでした。

逆にいうと、お客様と営業職員以外は二級市民的な取扱いであり、最小限の人数で回しているため、屁理屈こねてサボったり楽したりする人を置いておく余裕はないという状況でした。

 一部そういう困ったちゃん系の人たちもいましたが、だいたい1年くらいすると姿を見なくなったりしました

会社によっては訴訟リスクやそれにともなう風評リスクを恐れて飼い殺しにすることを選ぶところもありましたが、上記の営業力の強い会社は貢献しない人、改善する気のない人には去ってもらうというカルチャーが徹底していました。

そのような流動性の高い組織はいいものの、サイコパスADHDなど器質的な問題のある方は、人口の数%といわれますが一定数います。

さらに心身ともに問題はないけど、日本の正社員の過剰な保護に隠れて確信犯的にフリーライダー(義務は果たさず利益だけ得ようというタダ乗りの人)になろうという人も残念ながら一定数います。

会社組織を円滑に運営して、多くの人が気持ちよく働ける環境を作り、結果的に高い生産性と利益を実現させるには、だんだん避けて通れない問題になってくると考えます。

【まとめ】インセンティブデザインを考える

人間のインセンティブ(何かをやる原動力)を考えてみると、よほど好きで働いている以外はある程度我慢して生活費のため時間を切り売りしている訳です。

好きなことでもなく忍耐している以上は、合理的な感覚があれば、できるだけ最小限の手間で最大限の利益を上げようというインセンティブが働きます。

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なので、少なくてもきちんと生産性を上げていない人がタダ乗りできず、あるいはそれなりのペナルティが働くような仕組みはきちんと考える必要があります。

さらに、日本の労働市場流動性が低いし、特に解雇規制があって企業もなかなか正社員で採用してくれません。特に中高年サラリーマンになると同じような条件で転職するのが難しくなるので、仕事は嫌い、会社も嫌い、でも辞められないというダブルバインド(にっちもさっちも行かない身動き取れない状況)になります。

その結果、(仕事そのものより)できるだけ最小限の手間で何とか既存の利益を維持しようという方向に努力するインセンティブが働くことになります。

管理人もキャリアの終盤は不徳の致すところというべきか、そういう人が何人もいる環境で部門長として働くことになってしまい、いろいろ試行錯誤させられました。そのうちハッと目が覚めて、そういう人たちのお守りやご機嫌取りして生活するくらいなら、収入が劇下がりしても好きなことを追求して暮らした方がいいやとも考えました。

ある意味、(それが主要因ではないですが)彼らに背中を押してもらったともいえますが(苦笑)。

とはいえ、今は零細株主とはいえ資本家ですから、会社の利益を適切に確保するため、また周囲の真面目に働いている人のモチベーションを下げず生産性を下げないためにも、何とかしないといけない問題で、今後とも折に触れて考察してみたいと思います。